ひばログ!

2020年、コロナウィルスの自粛の波に飲まれ、エンタメ業界・イベント業界の人たちの多くが一気に失業状態になりました。マジシャンの偏った目線でインプットアウトプットを繰り返します。

何かをマジックで表現する

 皆さんこんにちは。四六時中マジックのことばかり考えてるひばりくんです。こんなにいっぱい考えている割には新ネタが一向に増えないんですが、考えている時間は結構楽しいです。

 四六時中考えていると言っても、技術面の思考は練習の時に考えているので、何かにのめりこんでる人ならこれは結構普通のことです。

 しかし僕は練習時以外もマジックのことはずっと考えていて、そういう時は技術面から離れて概念的なことや理論的な面を考えるんですが、中でも多いのは「何かをマジックで表現する」ためのモデルを考えることです。

 今日はマジックで何かを表現するための思考法を一般の人にもわかりやすく書こうと思います。

 

マジックで表現するとしたら?

 僕はよく何かの物事を体験したとき、これをマジックで表現するとどうなるんだろう?ということを考えます。

 例えば映画やドラマを見て、これってマジックで表現したときどうやったら魅力が伝わるんだろう、みたいなことですね。「この作品をマジックを通して色んな人に伝えたい!」とかそういうものではなく、頭の体操のような感じで考えることが多いです。

 

抽象化の練習

 映画を見てそれをマジックで表現したいと思ったとき、まず僕が取り掛かるのが抽象化です。

 いくらその映画を表現しようと思っても、その映画の主人公やロケーション、小道具なんかを使うことはできませんからもっと広く色んなものに当てはめられるようになるまで物事を単純化していきます。

 

 主人公や登場人物はただの人として置き換えられるし、ものでも人でも究極に単純化してしまえば例えば”A”と呼んで概念化もできます。

 主人公が敵を倒した。という事象を抽象化するならAがBを消した。とすることもできます。しかも抽象化に正解はありませんから可能性は無限大ですよね。

 

ホラー映画はマジックにいい?

 これはちょっと専門的な話で僕の持論なんですが、ホラーとマジックは相性がいいと思っています。

 マジックは楽しいものでホラーは怖いものだから対極にあると思われるかもしれませんが、お客さんの想像の範囲をはるかに超えるマジックはしばしば「怖い」と表現されます。

 

 そしてホラーや霊現象を抽象化すると、その状況は非常にマジックに当てはめやすいんです。

 

 例えば…

”いないはずの場所に人がいる”

   ↓ 抽象化

”ないはずのところにAがある”

   ↓ マジックに当てはめ

”ないはずのところに選んだカードがある”

 ただならぬ可能性を感じませんか?はるか大昔、マジックがまだ娯楽ではなかった時代に妖術と恐れられたり宗教などに用いられたのも少し納得がいきますね。

 

抽象化は面白い

 抽象化は何もマジシャンだけにとって有用なことではありません。

 抽象化は何か新しいことを考え出そうとするとき、非常に有益なものとなります。

 僕が色んな物を抽象化してマジックに当てはめるのは、今までの歴史でマジックに取り入れられてこなかった構成や演出を模索するためです。この作業を多くしていたからホラーとマジックの共通点もその過程でなんとなく自分なりに気づくことができました。

 今まで自分が歩んできた範囲や自分が携わる者の歴史をぐるぐる回るのは悪いことではないですが、時には新しいエッセンスも必要です。そのエッセンスを取り入れるためのツールが抽象化だと言えるでしょう。

 

おわりに

 ぜひ抽象化の練習をやってみてください。最初はうまくいかないかもしれませんが、この考え方を癖づけることが何よりも大事です。

 今日見た映画を抽象化しても面白いし、抽象化した者同士を比較しあうとまた新しい発見もあるかもしれません。

 意外と新しい発見は身近にあるものです。今回もこんな感じで。ではまた。